水曜日, 11月 16, 2011

パーキンソン病と脳梗塞の嚥下障害

"嚥下障害の検査 ( VF ) について"についての質問を頂きましたので,こちらに解答を掲載します.

【パーキンソン病による嚥下障害】

特徴

パーキンソン病によって既に現れている運動障害・疾患の進行度、薬物療法の影響により嚥下障害が起こります

嚥下動態としては口腔から食道までのすべての部位で異常を認めうるため、嚥下造影検査(以下VF)で詳しく調べる必要があります。

一般によく見られるものとしては舌の固縮などによる食物の送り込み不良(VFでは口腔期~咽頭期になかなか食物が移動せず、舌の前後運動を繰り返す動作がみられます)と嚥下反射惹起時に使う筋力の低下のために嚥下後に食物が喉頭蓋谷・梨状窩に残留する場合が挙げられます。

また、食道裂孔ヘルニアが合併したときには、胃内容物が逆流し、誤嚥することがあります。

【パーキンソン病患者におけるVF所見の調査(国立長寿医療センター調べ)】

         誤嚥なし(n=21)   誤嚥あり(n=22)

口腔保持不良    47.6%         77.2%

舌の動きの低下   9.5%          45.5%

喉頭挙上の遅れ   42.9%         86.4%

口頭蓋谷残留    52.3%         77.2%

梨状窩残留     52.3%         77.2%

VF以外でも上記のデータから口腔保持や舌の運動・嚥下反射の遅れがある人はリスクが高いことが示唆されます(VFが行えない場合は参考にしてください)。



【脳梗塞による嚥下障害】

 脳梗塞によって起こる嚥下障害は損傷部位や病巣大きさなどにより病態が様々なため、 

 一概に特徴は言えません。