数回にわたってお届けします.今回は①失語症のタイプ分類,②基本用語の解説です.
①失語症のタイプ分類
ST 籔
いくつかの分類方法が提唱されてきたが、大きくみると以下の2つの立場がある.
1.症候と脳の解剖構造の相関を重視する古典的な立場:Boston Group
→症候群についてはある程度病巣との対応関係を考えることができるが、1つの症状は1つの病巣に対応させることはできない.例えばウエルニッケ失語と左側頭葉後方上部病変はある程度相関させられるが、理解障害はいろいろな病巣で起こりうる.
2.心理学あるいは言語学的側面を重視する立場
鑑別診断のポイント
・ 発話が流暢か非流暢か
・ 聴覚的理解ができるかどうか
・ 復唱能力が保たれているかどうか
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②基本的な用語
・ 理解障害:語音認知の障害(音を聞き取れない)、意味理解の障害(言語音として聞き取れてもその意味が理解できない)、聴覚的把持力の障害(一度に覚えられるものが少ない)がある.
・ 喚語困難:言葉が思い出せない状態をいうが、語頭音のヒントがあると出てくることもある.
・ プロソディー:リズム・抑揚・音色のこと.障害されると不自然なイントネーションの日本語になる.
・ 錯語:音韻性錯語(音を誤るが元の語が推察できる程度の誤り)、語性錯語(他の単語に誤るもので、同じカテゴリー内の語に誤る意味性のものと、まったく無関連の語に誤るものがある).書字で文字の誤りがある場合は、錯書と言われる.
・ 新造語:もとの言葉がわからないほど音が異なったもの.音自体は日本語の音で、ひずみなどはみられない.
・ ジャーゴン:意味をなさない文レベルの発話.発話が語性錯語中心のものは意味性ジャーゴン、新造語中心の場合は音韻性ジャーゴン、同じ音や語の繰り返し(ex. ととと)は再帰性発話・残語とされる.
・ 迂言(うげん):肝心の単語がでないで、それを説明するように話すもの.
・ 失文法:電文体(助詞が抜けるもの)や活用語の産出が困難になるもの.
・ 錯文法:助詞の使用や活用、文の構造が不適切なもの
・ 保続:一度言ったことばが何度も繰り返しでてくること.
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