火曜日, 10月 24, 2006

傷の閉鎖療法(湿潤療法)~デュオアクティブETの使用法~

デュオアクティブET
デュオアクティブET
当院では、すり傷・切り傷を消毒しないで、さらに乾かさないように覆うことで治癒を促す「湿潤療法」をしています。
傷を覆うのに「デュオアクティブET」を使います。
この新しい治療法は、これまでの「消毒をしてガーゼをあてる」方法に比べて痛みが少なく、傷跡が残りにくい、傷にやさしい方法です。

デュオアクティブETは、ハイドロコロイドでできており、キズから出てくる過剰な液を吸収します。
使用法は簡単なので、ご自分たちで取り替えることができます。

 デュオアクティブETの使い方
手順1. キズの大きさ・形に合わせてハサミで切ります。
手順2. 水道水などでキズをきれいにします。
(消毒剤はキズを痛めるので使わないで下さい!)
手順3. 乾かしたキズの上にデュオアクティブETを直接貼ります。
しばらくするとキズからでてくる液を吸収して、デュオアクティブETが白くふやけてきます。この液は、傷を治そうとして出てくる液で、傷が化膿したわけではありません。

手順1
手順1
手順2
手順2
手順3
手順3
キズの上が白くふくれてきます。
 デュオアクティブETを替えるタイミング
端から漏れているので
取り替えます。
デュオアクティブETが白くふやけてきても、すぐに貼り替える必要はありません。
しかし、白くふやけたところが広がって端から漏れてきたら、はがして水・お湯などで傷をきれいにして、新しいものを貼って下さい。
デュオアクティブETのふやけたところが傷にくっつくことはありません。
傷が治るまで
治癒とともに、傷から出てくる液は少なくなります。
端から漏れてこなくても4~5日したら、とり替えて皮膚を洗って清潔にしましょう。
貼ったまま入浴・洗髪が可能です。又は、はがして入浴し、その後に新しいものに替えても結構です。
傷から出る液がほとんど無くなり、デュオアクティブETが白くふやけなくなったら治療は終了です。
はがしてきれいに洗って下さい。
傷が治るまで通常1~2週間くらいかかります。

※ デュオアクティブと同様の市販品に「キズパワーパッド」(ジョンソン アンド ジョンソン)があります。薬局などで売っています。
※ 2歳以下のお子さんは、皮膚がかぶれることがあるので注意して下さい。
※ キズの周囲が赤くなる・腫れるなど、感染・化膿が疑われる場合はご相談下さい。
※ 傷が治ったところは日焼けしやすいので、当分の間、太陽の光に直接当てないようにしてください。


「傷の湿潤療法」関連ホームページ
『新しい創傷治療(「消毒とガーゼ」の撲滅を目指して)』夏井 睦(まこと)先生
URL : http://www.wound-treatment.jp/

2005年 手術症例

2005年の手術症例数は昨年と比べ全体的に増加しました。

手術症例として脳動脈瘤や脳内血腫、水頭症、硬膜下血腫の手術が特に多く見られました。

■2004年,2005年の年間手術件数について
手 術 名 2004年 2005年
・脳腫瘍摘出術 8 6
・未破裂脳動脈瘤クリッピング術 13 22
・破裂脳動脈瘤クリッピング術 13 21
・脳内血腫除去術 3
12
・定位的脳内血腫除去術 7 7
・浅側頭動脈中大脳動脈吻合術 7
11
・内頚動脈内膜剥離術 2 5
・水頭症手術(シャント手術など) 13 18
・慢性硬膜下血腫穿頭術 19 24
・急性硬膜下血腫除去術 4 4
・脳動脈瘤内コイル塞栓術 1 5
・局所血栓溶解術 3 3
・その他 9 18
 合計 102 156



髪の毛を全く切らない手術(無剃毛・無除毛)


感染率は変わりなく、むしろ少ないくらい。そのような報告は増えている。

以前の脳神経外科の手術は、髪の毛を刈ったり、またはツルツルに剃ったりしていました。しかし最近は、髪を剃ることはかえって細菌感染の原因になるといわれ、なるべく髪の毛を残すようにして手術をするようになってきました。

このような流れの中で、当院では、2004年5月から、髪の毛はそのまま切らないで手術をしています。除毛クリームも使いません。夜間の緊急手術や、ドレナージという管を入れたままにする手術でも、髪の毛はいっさい切りません。また、2005年4月から水頭症(脳に髄液という水が貯まる病気)の治療に行う脳室ー腹腔シャント術(頭からおなかに、髄液を流す管を埋め込む手術)でも髪の毛を切らないで手術するようにしています。

以前は、髪の毛が長いままだと手術の際に邪魔になったり、細菌感染の原因になると考えられていました。しかし、髪の毛を切らないで手術しても特に感染が増えることはありませんでした。また、皮膚を切るところだけ前もって髪の毛を分けると邪魔にはなりません。髪の毛を分ける処置にかかる時間は数分程度です。

手術をした日はガーゼを当てていますが、翌日から洗髪して手術創は何もつけずにそのままにします。カサブタがついている場合は、ワセリンを塗っておくときれいになります。手術後に消毒薬を使うことはありません。ドレナージという管を手術後に入れておく場合も同様です。

無剃毛・無除毛手術の利点

髪の毛をいっさい切らないので、退院するときには手術をしたことが外見上ほとんどわからず、社会復帰に支障を来しません。特に女性の患者様には、美容上の負担がほとんど無くなり、退院後の外出・面会が問題なく出来るメリットがあると考えられます。

無剃毛・無除毛手術の手順

1. 手術する前に病棟でヒビスクラブ(4%グルコン酸クロルヘキシジン)で頭髪を洗浄する。
(緊急手術では省略することもある)
2. 皮膚を切る直前に手術場で頭髪をヒビスコールR(0.5%ヒビテンアルコール)でぬらし、櫛で皮膚切開線に沿って整髪。覆布テープ、ステイプラーで頭髪を固定、イソジン液で消毒。
3.

創は24~48時間程度ガーゼで覆う。その後、洗髪して開放。

1.髪の毛を固定して消毒。これで髪は術野にほとんど出てきません。
2.男性の患者さん。切開線に沿って髪の毛を分ける。

3.手術が終わってガーゼで覆う。


4.手術翌日。このまま髪の毛を洗って、開放します。

5.こちらは別の女性の患者さん。縫ったステイプラーを抜いたところ。
退院するときには、見た目に
手術したとはわかりません

除毛手術と無除毛手術の感染率の比較

除毛 手術件数
期間(連続20ヶ月間) 開頭 穿頭 計 そのうち感染
2002年9月~12月 18 10 28 0
2003年1月~12月 55 29 84 2
2004年1月~4月 16 8 24 0
計 89 47 136 2(1.47%)

無剃毛・無除毛 手術件数
期間(連続20ヶ月間) 開頭 穿頭 計 そのうち感染
2004年5月から12月 33 22 55 1
2005年1月から12月 79 45 124 0
計 112 67 179 1(0.56%)

月曜日, 10月 23, 2006

慢性硬膜下血腫とは

軽微な頭部外傷後に「慢性硬膜下血腫」が生じることがあります。 頭蓋骨のすぐ下に「硬膜(こうまく)」という厚い膜があり、さらにその下に脳を包む「くも膜(くも膜)」という膜があります。この硬膜とくも膜の間に、比較的ゆっくりと時間をかけて血のたまり(血腫)ができてくるものを、「慢性硬膜下血腫」といいます。
 
きっかけとなる外傷は「転んで頭を打った」「家具や棚などに頭をぶつけた」など、比較的軽症なものが多く、ぶつけた直後には特に異常は見られないことがほとんどです。 受傷後数週間~数ヶ月たって、頭痛や歩行障害、また周囲からみてなんとなく様子がおかしい(ボケたようだ)などで、病院に来られて、検査をして始めてわかることが多いです。 治療方法は手術でたまった血腫を取り除くことです。頭蓋骨に約1cmの小さい穴を開けて、ここから細いチューブを入れて血を洗い流す手術を行います。 局所麻酔で行える手術で、所要時間は約一時間です。
慢性硬膜下血腫は、症状が出現してから早期に発見し治療(手術)を行えば、後遺症を残すことなく治癒する疾患です。 しかし、発見が著しく遅れたり、症状が出てから長く放置されたりすると、手術しても後遺症が残ったり、回復に時間がかかり入院期間が長くなってしまうこともあります。
 
慢性硬膜下血腫を早期に発見して適切な時期に治療を受けるため、頭を打撲したらその2-4週間後に、体に異常を感じていなくても脳神経外科を受診して、CTやMRI検査を受けることをおすすめします。

木曜日, 10月 19, 2006

2004年の手術件数について


2004年の手術症例数は全体では前年と同じ数でした。
当院は急性期の脳外科単科病院のため、血管障害(脳卒中)と外傷の手術が多い傾向にあります。

■手術件数(年間) 102例(血管内手術件数 7例)
病 名 /件 数 /備 考
脳腫瘍 8  
脳動脈瘤 26 破裂:13例、未破裂:13例
脳出血 10 開頭:3例、ステレオ:7例)
脳梗塞 9 中大脳動脈-浅側頭動脈吻合:7例、CEA:2例※CEA=頚部内頸動脈内膜剥離術
頭部外傷 23 急性硬膜下血腫:4例、慢性硬膜下血腫:19例
水頭症 13 VP シャント:11例、SP シャント:1例、脳室ドレナージ:1例
感染症 2  
脊髄 1 前方固定術:1例
血管内手術 7 血栓溶解術:3例、PTA/STENT:3例、コイル塞栓術:1例
その他 3    合計 102