感染率は変わりなく、むしろ少ないくらい。そのような報告は増えている。
以前の脳神経外科の手術は、髪の毛を刈ったり、またはツルツルに剃ったりしていました。しかし最近は、髪を剃ることはかえって細菌感染の原因になるといわれ、なるべく髪の毛を残すようにして手術をするようになってきました。
このような流れの中で、当院では、2004年5月から、髪の毛はそのまま切らないで手術をしています。除毛クリームも使いません。夜間の緊急手術や、ドレナージという管を入れたままにする手術でも、髪の毛はいっさい切りません。また、2005年4月から水頭症(脳に髄液という水が貯まる病気)の治療に行う脳室ー腹腔シャント術(頭からおなかに、髄液を流す管を埋め込む手術)でも髪の毛を切らないで手術するようにしています。
以前は、髪の毛が長いままだと手術の際に邪魔になったり、細菌感染の原因になると考えられていました。しかし、髪の毛を切らないで手術しても特に感染が増えることはありませんでした。また、皮膚を切るところだけ前もって髪の毛を分けると邪魔にはなりません。髪の毛を分ける処置にかかる時間は数分程度です。
手術をした日はガーゼを当てていますが、翌日から洗髪して手術創は何もつけずにそのままにします。カサブタがついている場合は、ワセリンを塗っておくときれいになります。手術後に消毒薬を使うことはありません。ドレナージという管を手術後に入れておく場合も同様です。
無剃毛・無除毛手術の利点
髪の毛をいっさい切らないので、退院するときには手術をしたことが外見上ほとんどわからず、社会復帰に支障を来しません。特に女性の患者様には、美容上の負担がほとんど無くなり、退院後の外出・面会が問題なく出来るメリットがあると考えられます。
無剃毛・無除毛手術の手順
1. | 手術する前に病棟でヒビスクラブ(4%グルコン酸クロルヘキシジン)で頭髪を洗浄する。 (緊急手術では省略することもある) |
2. | 皮膚を切る直前に手術場で頭髪をヒビスコールR(0.5%ヒビテンアルコール)でぬらし、櫛で皮膚切開線に沿って整髪。覆布テープ、ステイプラーで頭髪を固定、イソジン液で消毒。 |
3. | 創は24~48時間程度ガーゼで覆う。その後、洗髪して開放。 |
1.髪の毛を固定して消毒。これで髪は術野にほとんど出てきません。 | 2.男性の患者さん。切開線に沿って髪の毛を分ける。 | 3.手術が終わってガーゼで覆う。 |
4.手術翌日。このまま髪の毛を洗って、開放します。 | 5.こちらは別の女性の患者さん。縫ったステイプラーを抜いたところ。 | 退院するときには、見た目に 手術したとはわかりません |
除毛手術と無除毛手術の感染率の比較
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